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2011年06月14日

「野望の谷」 その1 出合い

「野望の谷」 その1 出合い

鈴鹿山系には昔から北と南の端に大きな街道が有ったが
その間にも小規模ながら数本の街道が有り多くの人々が
利用していた、戦国時代には有名な武将達も良く利用していた、
その中の一つの街道に沿った谷で二人の青年に起きた出来事の
お話です。

「先輩!!イワナ居ます??」
「居ないことは無いが少ないだろうなぁ」
ご存知伊藤(時朗)と鈴木(幾三)の先輩後輩コンビだ、
さて今日はどんなドタバタが展開されるのか?

「琵琶湖にそそぐ川にはビワマスが居るって聞きましたけど・・・
釣れないかなぁ・・・」
「そりゃ昔の話だ、今じゃ湖北か湖西に少し上るだけだし
たとえ上ったとしても秋だ、この時期は指のサイズ」
そう言って人差し指を立てて大きさを表した。
「ビワマス」とは琵琶湖特有の鱒で琵琶湖を海に見立てた
「サツキマス」と言えば解りやすい、ただしビワマスは
梅雨時に湖に下り秋に川に上るので春に川を泳ぐビワマスは
とても小さいのである。

この谷は湖東では一二を争う大河の一つの支流で上流には
イワナが生息しているが放流されて自然繁殖した遊泳力の
強いアマゴはどんどんテリトリーを広げている、ところが
純粋な在来アマゴはまず居ない、ダムや堰堤が出来ると共に
降湖率の高いこの川のアマゴ(ビワマスの稚魚)は居なくなったと
されている。

川や魚の話は文中おいおいと入れるとして二人の釣りを見てみよう、
「先輩、今日はどんなフライでいきます??、EHC?ソラックスダン?」
「うーーん、解らん、まだ虫も飛んでないからソラックスダンかな?」
「はい、了ーー解!何時ものイエローですね」
二人は難なく20cmオーバーのアマゴを釣り上げ一つ目の堰堤の
下に着くと「おっとっと、ちょっと待て」無造作に淵に近づきそうな
鈴木を制止しながら「大きいのが居る」と続ける、
「何処何処?あー、居た居た」
「まあ落ち着けお前がハイテンションのままで釣るとろくな事はねぇ」
まずは同じフライを結び直してキャストする、良型アマゴの1メートル
前方にフライが着水し緩い流れに乗ったフライが魚の30cmほど上流に
差しかかるとスーッと寄って来た魚は何かを思い出したかの様に
元居た場所に戻ってしまった、魚の居場所を通過したフライは
静かにピックアップされて鈴木の手に戻った。
「あーあ戻っちゃった、ティペット太いかなぁ・・」
「いや、フライだな、サイズかパターンか、んーーん?・・・」
そう呟きながら伊藤はCDCダンやコンパラダンなどのハックルの無い
フライばかりのボックスから一つのフライを摘まんで
「これで行け」と渡したのはマラードダックのクイルを丸めて
巻いただけの「クランパーノーハックル」だった
「あれ!ノーハックルダンじゃないんですか?」
「まぁ俺の思い付きだ、ウイングだけにフロータント付けて
ボディーを水に浸して投げてみろ」
「なるほどなるほど、沈みかけ狙いですね」
鈴木が投げたフライは先ほどと同じ場所に落ちて同じ様に
流れて行く、多くの釣り人を落胆させた魚も美味しそうに
見えたのか静かに寄って来て一瞬ためらった後吸い込む様に
フライを加えた、「良し!!」「やったー!!」
ロッドは満月に曲がりラインがビュンビュンと音を立てて
震えると魚は上流に走りだし手繰る出すを二度ほど繰り返した
直後ラインのテンションが消えた。
「あーーーー!」
「ザンネーーーーン!!惜しかったね、ロッド立て過ぎかな?」
大物を逃した後二人はしっかり7寸サイズを釣ったがばらした事の
印象の方が数倍大きかったのは言うまでもなかろう。
しかし、それ以上の出来事が二人に降りかかろうとしていた。

「先輩、この堰堤どう巻きます??」そう言いながら鈴木は
周囲を見回している、「うーーん、林道まで戻るのも良いけど」
と言いながら指を差したのは淵の浅い方の横の崖、「あそこを巻くぞ!」
まず伊藤が先に登り始めて後少しと言う所で細い木を掴んで
少し躊躇している鈴木に手を差し伸べて「掴め!大丈夫だ」
例え落ちたとしても水深は浅く問題ない、
「ちゃんと持ってて下さいよ!えい!」と伊藤の手を掴んで二人分の
体重が細い木に掛かった時「ザクッ」と言う音と共に二人は落下
し始めた、その時周りは一瞬にして暗くなり周りの景色を消し
時計の針は目にも止まらぬ速さで回っていた事を二人は知らない。

「先輩!大丈夫ですか?」「おー、大丈夫だ、お前こそ・・・」
二人はロッドやリールを真っ先に確認してから怪我は無いかと
確かめたがまったく無傷だった。
「結構派手に落ちたんだけどなぁ、まぁ良いか、あれ?堰堤が・・・」
「ん??堰堤が消えたなあ、山は確かに鈴鹿の山なんだけど・・・」
「釣りましょ釣りましょ」
鈴木はポジティブ思考で対処しているが伊藤には他の違和感にも気づき
タイムスリップを確信したがそう思っているうちに鈴木が魚を釣った。
「先輩、さっきから小さいのが反応しますよ、おっと釣れた、小いせー」
「どれどれ、おや?これひょっとするとビワマスの稚魚かも・・・」
ところで普通のアマゴとビワマスの稚魚の見た目の違いは
まずサツキマスの様に背びれと尾びれの縁がグレー色で目が少し大きめなので
パッチリしている事、それくらいらしい。

伊藤は鈴木にイワナのポイントを重点的に狙う様に支持すると
「居ます!岩の横に大きな魚の影が有ります」
「そうか、大きなイワナと・・小さなビワマスと・・堰堤が消えて・・
植林が消えて・・」そう呟きながらどの時代にタイムスリップしたのか
考えていると背後から声をかける者が居た。

「その者達何をしておる!」やや低い声量が有る声ははっきりと聞こえた、
伊藤は何となく事態が掴めて来たが脳天気な鈴木は何も解らず
「何ですか?その言い方は!」と振り返ると同時に伊藤が
「ちょっと待て」と制御して言うともう一人の人物が
「その物言いは何だ、この方は・・」
「良い良い、この二人何か訳が有りそうだ、しかし妙な身なりじゃのう」
どう見てもそれぞれの二組のスタイルが合わない、偉そうな人物は
まだ分別が有りそうだがその相方は若くて血気盛んな様子。

「あ!!ロケ?何の??」鈴木はまだそんな事を言っている
「貴様ぁぁ!!」
「まぁまぁ、待て!」と相方を窘めた位の高そうな人物に
「すみません、今年は何年ですか?」と伊藤はたずねた、
遂に革新に入る会話が始まる。
「今年は元亀元年、今日は5月19日じゃ」

つづく


少し長くなりそうなので今回は連載にしました
第二部で大物が登場しますが最後の年号と日付で解った人は
ネタバレしないで下さいね。
三部作になりそうです。


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この記事へのコメント
無事でなによりです。
3部作 楽しみにしています ペコリ
Posted by shima at 2011年06月16日 12:09
こんにちわ
初めての続き物です、ストーリーの中では
大爆釣です(泣)
Posted by おいかわおいかわ at 2011年06月16日 16:49
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